経済

3メガバンクのステーブルコイン共同発行、金融庁が支援対象に採択

11/8/2025

金融庁は7日、国内の大手3メガバンクによる円建てステーブルコインの共同発行に向けた実証実験を公式に支援対象として認定したことを発表した。この画期的な取り組みは今月中にスタートし、決済分野に精通した金融庁の専門担当者が実用化を力強くバックアップするだけでなく、関連する規制面の検討も慎重かつ徹底的に進められる見通しだ。

ステーブルコインは円やドルなどの法定通貨に連動するデジタル決済手段として注目が集まっており、米欧の主要金融機関も発行や開発に向けて積極的に動いている。今回の実証実験は金融庁が展開する「フィンテック実証実験ハブ」の支援プログラムの一環として位置付けられており、ブロックチェーン技術や関連法令、海外の動向に精通した担当者がチームに加わり、多角的にプロジェクトをサポートする。片山さつき金融担当大臣も閣議後の会見で「法令解釈の面から実証実験の遂行を全面的に支援する」と強い意欲を示した。

今回3メガバンクは円建てステーブルコインの規格統一を目指し、これにより従来数日を要していた銀行振込の決済プロセスが即時化することが期待されている。特にグローバルに事業を展開する企業にとっては、利便性の大幅な向上に繋がる新しい決済インフラとなる見込みで、将来的にはドル建てステーブルコインの発行も視野に入れている。

具体的には三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の三行が実証実験の対象に選出され、その一環として三菱商事は日米間の越境決済にステーブルコインを活用する計画を進めている。三菱商事は国内外の約240社以上のグループ企業間で発生する送金手数料や手続きの負担を軽減し、高額取引に適した「信託型」方式を採用することで企業間取引の効率化を図る。これらの資金管理は三菱UFJ信託銀行が担当し、3メガバンクグループが出資するフィンテック企業プログマの技術基盤を活用してステーブルコインが発行される。

本実証実験により、規制面や利用者保護に関する具体的な課題を洗い出し、マネーロンダリング対策やコンプライアンスの強化などステーブルコイン普及に欠かせないルール整備が促進される見込みだ。3メガバンクは多様な利用シーンを想定して検証を重ね、早ければ今年度内の実用化を目指す方向で調整している。